オタク(元)弁護士の雑記帖

オタク弁護士だったけど弁護士を辞めてただのオタクになった人のブログ。

弁護士になったほうがいい人、企業内弁護士になったほうがいい人①

昔のつてなどで、たまに修習生の方や学生の方から、法曹の就職活動の悩み相談を受けることがある。

その多くが、「企業内弁護士ってどうですか?」というもの。

 

これについては、はっきり言って企業の中の体制や業界によるし、「わからない」と言わざるを得ないところだ。

ただ、弁護士業と会社員との間には、大きな違いがあるので、その点については話すことができる。僕自身は、弁護士、ただのサラリーマン、企業内弁護士としてのサラリーマンの全部を経験しているので、その違いについて話すことも多い。

実際に相談を受けた時にも、このことをよく話すのだけど、今一度このブログでも振り返ってみたい。

思っていることを思っているまま書くし、僕自身はすでに業界を去った人間なので、誤解を招く表現もあると思う。生き残っている人におかれては、競争に怖気づいて敗走した人間の遠吠えだと思って生暖かい目で見守られたい。

 

今日は、いくつかある観点のうち、一つだけ紹介したい。

 

違いその1:弁護士は「営業」を兼任している

弁護士と会社員の違いはここが一番大きいと僕は思う。

実際のところ、僕の周りでも多くの同期が独立しているけど、独立早々から現在まで安定して仕事が来ている人もいれば、山あり谷ありな人もいれば、ぶっちゃけ結構やばい人もいる。

これは断言していいと思うのだけど、弁護士の営業スキルは訴状などの書類作成スキルとまったく関係がない。

そして、弁護士としてやっていけるかは、必要最低限の営業力を備えていることがまず必要条件になると僕は思っている。

 

パワプロのスキル的に考えた、以下の組み合わせから考えてみたい。

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上の表でいうと、赤字で示したカテゴリーの人は、企業内弁護士に転向するというのはありだと思う(もちろん、その他のカテゴリーの人も企業内弁護士やっていけるんだと思うけど、弁護士あんまり向いてないからキャリアチェンジしたほうがいいのでは、という話ではない。)。

弁護士向いてないマン:早期撤退を

このうち、弁護士技術△(とびぬけて得意な職人的分野も事務処理能力もない、普通またはそれ以下の弁護士)で、営業×(苦手)な人は、正直これから生き残っていくのは大変だと思う。司法試験に受かる力があるのだから、社会には絶対に通用すると思うけれど、弁護士業としての適性を考えるとあまり向いていないのかなと思わざるを得ない。

貧乏してでも弁護士業を続けたいという動機がない場合は、つぶしが聞く年代で転職しておくことをお勧めしたい。

※誤解を招きそうなのでエクスキューズしておくが、弁護士向いてないマンにカテゴライズした人も、これまでの時代だったら余裕で食えているわけで(いわゆる「国選族」とかもいたし)、弁護士として必要な能力が足りないということではない。

ボスの手を放したら死ぬマン:環境による

このカテゴリーは、弁護士としての能力は高いけど、口下手だったりコミュ障だったり、売り込みが足りなかったりで、営業能力は欠けるという人。

このカテゴリーの人は、要するに「仕事があれば迅速かつ完ぺきにこなす」という人なので、仕事の供給が安定的にあれば、信用を失って食うに困るということはない。

大きな事務所に入って、破産管財人などの仕事が安定的に回ってくる環境だったり、業界団体の顧問をボスから分けてもらえる地位がある程度確約されているのなら、弁護士業を続けてもある程度裕福にやっていけるのではないかと思う。

または、自分しかできないニッチな分野があるなら、その専門弁護士としてブランディングをして仕事をしていくという方法もある。

逆に、事務所内競争などが激しく、その中で敗退する可能性があるなら、その高い事務処理スキルを活かして別の道に行くというのも一つの手だと思う。

小規模事務所を自分でやるマン:プライベートを捨てる覚悟があれば全然食える

このカテゴリーは、弁護士としての仕事に差別化はできていないが、見せ方がうまかったり売り込みがうまかったりして、人並みの力があればこなせる仕事がある程度入ってくる人を想定した。

弁護士大増員前の普通の弁護士、いわゆる町弁などの多くがこのカテゴリーに入ると思う。大きな事務所で専門的な仕事をこなすのではなく、小さく生んで大きく育てるをモットーにある程度経験を積んだら独立して自分の食い扶持を自分で稼いでいくタイプ。これまでの時代ならサラリーマンの所得は大きく超えるが、ぼろ儲けとまではいかない程度の所得層だと思う。

これからの時代も、営業を頑張ればくいっぱぐれないと思う。

(ちなみに、僕は自分自身をこのカテゴリーに属するのではないかと思っている。)

これからの時代の小規模事務所を自分でやるマンは、大規模支店展開型事務所(なんとかディーレさんとか)とお客さんを取り合わなければならない。

ネットが大事だというけれど、空中戦で彼らと正面から戦おうとしても勝てない。

地上戦と空中戦の併用で自分の食い扶持を確保するというのが、これからの戦い方だと思う。

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知り合いに弁護士がいなくて、ネットでドンピシャ地元の弁護士を探そうとする右下のカテゴリーのお客さんと、人脈があってこの弁護士は信頼できるといってご指名で来る右上のカテゴリーのお客さんを狙って、仕事を取ろうとするのが小規模事務所の戦略だと思う。

その場合、ライバルは地元の弁護士ということになると思うのだけど、結局のところ昔ながらの人脈を広げて人となりを知ってもらい、信頼を勝ち得て仕事を依頼されるという、昔ながらの営業手法に逆戻りするのではないかという気がしている。

もちろん、地域に特化してSEOなどをすれば、今後コンテンツ重視の時代が到来した時にある程度空中戦でも戦えるのではないかという気もするけれど、空中戦だけで食っていけるということはないというのが個人的な見通しだ。

そうしたときに、限られたパイを増えた人員で奪い合うことになるのだから、必然的に営業に割く時間が増える。人脈作りなどの営業手法に頼ろうとすると、それだけプライベートの時間も削られる。いわゆる肝臓営業などもこれまで以上に頑張る必要がある。

つまり、このカテゴリーの人は、プライベートをつぶしてでも弁護士業をしたい、またはサラリーマンよりも裁量や所得の多い仕事がしたい、という動機があれば、弁護士業を続けたほうがいいと思う。

僕の場合は、家族と過ごす時間を第一に考えたので、企業に勤めることにした。

どこでもやっていけるマン:万能万能アンド万能

つよい。

文字通りどこでもやっていけるので、生きたいように生きて、どうぞ。

 

自己分析と早期見極めがキャリア形成のカギ

企業に就職するときも、「自己分析」が大事だといわれる。

僕が学生の時もそうだったし、今もそういわれている。

弁護士のキャリア形成においても、やはり自分がどんなタイプなのか自己分析することが大事だと思う。

弁護士の場合は、先ほど表にした4つのタイプのうち、自分はなにマンなのかを見極めて、自分の生きたい方向を見定めるのが良いのではないかと思う。